相続税って、半分くらい持って行かれるとか、不動産を相続してしまうと相続税貧乏になるとか、なんだか「恐ろしいもの」として流布されていますよね。
でも、親が亡くなって自分の家に相続が発生したとき、よくわからないからと専門家任せにしてしまって良いものでしょうか?
確かに、ざっくり調べてみようと思っても専門用語が使われていたりして「分かりやすい」と謳われている説明を読んでも、どうも頭に入ってこない・・・。
なんて事があると思います。
そもそも気になるのは、相続税にまつわる事で何が「リスク」なのかがハッキリしないという事だったりしませんか?
相続税が高くなること?
申請にミスがあって追徴金を支払わされる事?
それとも、何か思いがけないような税金がかかってしまう事でしょうか?
ところが、実はそんな心配の全くない人まで、必要以上に怯えているケースが多いかもしれません。
あれこれと不安を募らせるより、まずは「ざっくり」捉える事から始められてはいかがでしょうか?
頑張って自分で手続きするにせよ、諦めて専門家に丸投げするにせよ、最低限押さえておきたいポイントを、あくまでも「ざっくり」と解説したいと思います。
相続税で最低限 知っておくべき事とは?
相続税を「ざっくり」計算する上で、必要最低限 押さえておきたい事があります。
これがわかると、かなり早い段階で自分の場合はどれくらいなのか?を知ることが出来ると思います。
細かい事は、その後で十分なのではないでしょうか。
相続税の計算で大事なのは控除というものの存在です。
年末調整で、扶養控除の申告をした事のある人なら、イメージが湧きやすいと思います。
控除=計算の対象から「ある金額」を差し引くこと
なので、自分の場合に使える控除を最大限 申請すれば、そのぶん相続税を抑える事ができます。
その控除の中でも、大きな4つの項目さえ押さえておけば、相続税のざっくりした計算が可能になります。
相続税の対象から外れる4つの項目
ここでは、一般的なサラリーマン家庭が知っておくべき控除についてご紹介します。
主な控除は、この4つです。
① 基礎控除
② 小規模宅地等の特例
③ 生命保険
④ 配偶者控除
控除の項目と計算式がわかれば、自分のケースに照らして該当するものに実数を入れるだけで、だいたいの相続税の金額がわかると思います。
① 基礎控除
まずは、すべての相続に適用される「基礎控除」があります。
遺産総額がこの金額以上になる場合にのみ、相続税が発生するという事になります。
3000万円 + (相続人の人数 × 600万円)
② 小規模宅地等の特例
土地は、相続財産の中でも大きな割合を占めると思いますが、土地にも「小規模宅地等の特例」という控除があります。
この控除を受けるには条件が必要ですが、適用されたら土地の評価額の8割が非課税になります。
宅地の評価額 × 80%
「小規模宅地等の特例」の適用条件は
・相続前から故人と被相続人と生活を共にしていた
・相続税の申告期間(相続後10カ月)まで居住し続ける
・居住用宅地の場合、特例を受けられる面積の上限は330㎡まで
などの条件を満たしていないと認められません。
この特例は、あくまでも土地への控除であって「家屋」は対象になりません。
③ 生命保険
相続財産に生命保険の保険金がある場合は、保険金にも控除があります。
500万円 × 相続人の人数
④ 配偶者控除
①~③までは相続人の全員に対する控除の話でしたが、それとは別に「配偶者控除」というものがあります。
これは、亡くなられた方の配偶者(奥さんか旦那さん)の相続分のみの控除になります。
ただ、全体に占める比率としては結構大きいので、押さえておくべき控除です。
金額としては1億6,000万円、配偶者の相続分(相続財産の1/2)の方が多額になる場合は、配偶者の相続分が非課税になります。
では最後に、遺産総額から4つの控除を差し引いてみましょう。
残った金額が、相続税の対象になります。
遺産総額 - 小規模宅地等の特例 - 基礎控除 - 生命保険非課税枠 - 配偶者控除 = 相続税の対象になる財産
まとめ
今回ご紹介した4つの「控除」を知っておけば、一般的な家庭の相続税なら、だいたいの計算が出来ると思います。
計算してみて相続税がかからないケースだったら、税理士を雇う事じたい無駄になりますよね。
ただ、相続税の申告をすべて自分でするには、やはり本腰を入れて取り組む「気合」が必要になると思います。
すべて自分で、とまでは行かなくても、専門家に依頼したい部分を明確にすれば、ぜんぶ丸投げするよりも費用を低く押さえられますし、自分自身安心ですよね。
今回ご紹介したのは、あくまでも一般的なサラリーマン家庭を想定していますが、実際は人それぞれ事情が違うと思います。
最後に、自分のケースに当てはまる部分を拾い読みするのに おススメの書籍をご紹介します。
図解で分かりやすく、毎年最新の情報に更新されていて、相続税について網羅された本です。